RAD Studio(日本語版)10.2 Tokyo Release 3(10.2.3)

Released: Mar 22, 2018

10.2 Tokyo Release 3(10.2.3) での更新項目

機能

  • CMake コマンドラインのサポート:CMake は、有名な C++ ビルドツールです。 RAD Studio 10.2.3 Tokyo では、RAD Studio コンパイラを使用した、コマンドライン上での CMake プロジェクトのビルドのサポートを提供します。10.2.3 ではまた、CMake との Ninja の使用を特にサポートしており、非常に高速な並列ビルドが可能になります。
  • 新しい Win32 コンパイラ ドライバ、bcc32x:10.2.3 では、新しいコンパイラ フロントエンドの bcc32x が含まれています。既存の Win32 Clang 拡張コンパイラ、bcc32c は C++Builder で維持され、共通コマンドライン インターフェイスをクラシックコンパイラ bcc32 と共有します。これは偉大なグレードアップへの道ではありますが、すべての Clang 拡張コンパイラが共通コマンドライン インターフェイスを共有するというわけではないことを意味します。
  • C++Builder の名前変更リファクタリング:10.2 Tokyo Release 3 における C++ 名前変更リファクタリング により、コード ビューで識別子を右クリックすることで、プロジェクト中に渡って簡単にその名前を変更できます。これにより、コードの可読性は向上し、名前変更の際のエラーも減少し、さらにプロジェクトの管理に要する労力も減るでしょう。
  • Delphi および C++Builder の Professional Edition におけるモバイル サポートの追加:10.2.3 における、Delphi および C++Builder の Professional Edition での新機能は、新規購入者や、アップデート サブスクリプションが有効なカスタマーに対する、モバイル サポートの追加です。以前は、別個のアドオン パックとして販売されていたものですが、このモバイル サポートの追加により、Delphi および C++ の開発者は、Windows や macOS に加え、iOS や Android も、すべて単一のコードベースでターゲットにすることができるようになります。
  • FireMonkey UI テンプレート:10.2.3 には数多くの、新しい FireMonkey UI テンプレートが同梱されており、FMX のマルチデバイス機能を強調するよう設計されており、ベストな例を示し、新規ユーザーが迅速に作業に取り掛かれるよう手助けします。 これらの UI の実例は、モバイル アプリケーション開発者が今日のアプリケーションで必要となるものを示しています。GUI テンプレートは GetIt でダウンロードすることができ、ログイン画面、サインアップ画面、プロフィール画面、設定画面など、複数の UI デザインを含んでいます。
  • RAD Server における Sencha Ext JS のサポート拡張:10.2.2 では、新しい FireDAC コンポーネントが含まれており、Sencha Ext JS クライアントに適した形式で JSON を生成する支援をします。10.2.3 ではさらに、Sencha Ext JS クライアントの RAD Server バックエンドの開発が簡単になっています。特に、これにはRAD Server 開発およびデバッグ サーバーを、静的 HTML、JS、CSS ファイル(およびその他のファイル)のホストとする機能が含まれています。これにより、HTML や JavaScript フロントエンドのソリューション(もちろん、Ext JS ソリューションも含む)のローカル開発や、RAD Server REST サポートによる Web サービスをテストするための、システムの設定が非常に簡単になります。
  • InterBase 2017:InterBase 2017 Developer Edition および IBLite/IBTogo 2017 は、RAD Studio のメイン インストールで、該当する InterBase 機能を選択した場合に、インストールされるようになりました。 InterBase 2017 では、単一接続でのサーバー上のすべてのオンライン データベースのモニタリングのほか、派生テーブルのサポート、高頻度使用の SQL 開発機能、ロック可能リソース取得のためのトランザクション待機時間の指定機能、変更ビューのパフォーマンス強化、などが提供されています。
  • 追加拡張機能と品質向上:10.2.3 には、数多くの品質およびパフォーマンスの強化が、さまざまな製品分野に渡って行われています。主な追加拡張について以降記載します。
  • REST クライアント ライブラリの MIME サポートの向上:10.2.3 では、REST クライアント ライブラリでの MIME サポートを大きく拡張しており、多様なマッピングを処理するための新たな内部 TMime クラスの実装や、TRESTClient コンポーネントにおける MIME コンテンツタイプの拡張なごどが行われています。
  • AppAnalytics クライアントに対する完全なソース コードの配信:10.2.3 には、AppAnalytics クライアント コンポーネントの完全なソース コードと、FMX および VCL 用の追加関連ライブラリが含まれています。 ソース コードの使用権限は、RAD Studio EULA に入っています。
  • EMS ウィザードの名前の変更:RAD Server の背後で使用されているコア テクノロジーを、EMS Server と呼ぶことにします。10.2 Tokyo Release 3 において、RAD Server ウィザードと実際のスタンドアロン サーバー アプリケーションの名前とキャプションの一部を更新しました。内部のクラス名、API、および参照はすべて、互換性のために現状のまま触れていません。
  • VCL HighDPI およびスタイルの拡張:10.2.3 では、Delphi および C++ の VCL アプリケーションの HighDPI サポートを向上させました。これには、次が含まれています:
    • VCL スタイルの向上 - コンボボックス スクロールバー、ポップアップ メニュー項目、DBCtrlGrid 上のコントロール、StatusBar グリップ、タブ シートのイメージ、日時ピッカー コントロール、メニューのアクセラレータ キー
    • HighDPI の向上 - ドラッグされたリストボックス項目やタブでの整列された子コントロール、および TFDGUIxFormsLoginDialog ダイアログ
    • MonthCalendar コントロールの描画、GridPanel のスケーリング、DBGrid のスケーリングにおける修正
  • FireMonkey の拡張:Release 10.2.3 では、FireMonkey に対する数多くの顕著な拡張や機能向上が、すべてのプラットフォーム、特に Android 上で行われています。特に次のものがあります:
    • Android でのアニメーションおよび TabControl 遷移の問題の解決(パッチで配布済み)
    • すべてのプラットフォームでの、ラベル フォントの描画(コンテナのスクロール時)
    • Android 4.4 にて、デバッグ時に[戻る]ボタンで Android アプリケーションを閉じようとした際の EContext3DException
    •  Android AdMob モバイル サポートを SDK バージョン 7 に更新
    • Windows での DateEdit コントロールや TrackBar コントロール、Android で描画される SpinBox の OnChange イベントや Viewport3D コントロール、および、Treeview 項目の表示の向上
    • macOS High Sierra 10.13.2 での例外処理
  • RTL の拡張:ランタイム ライブラリでは数多くの機能向上が行われており、次のものがあります:
    • サードパーティ製メモリ マネージャのより良いサポートのための System.Pas の変更
    • プロキシー サポートにおける HTTP クライアント ライブラリの向上、さらに安定したストリーム投稿の実装、リダイレクトにおける cookie の転送、および空のパスワード
    • Linux プラットフォームでの DUnitX の修正
    • Windows XP 互換性の向上を目的とした、動的呼出しを使用する一部の WIndows API 呼出しの変更(プラットフォームはオフィシャルにサポートはされていないが行っています)
  • インストーラの機能拡張:10.2.3 では、GetIt ベースの機能インストーラにおけるエラー条件管理が向上されており、これには、ディスク空き容量不足のシナリオや、既存フォルダ内の既存パッケージに対する、新しいファイルのダウンロード サポートなどが含まれます。またさらに含まれているものには、インストール後に admin 権限なしでの IDE の開始のサポートがあり、Beyond Compare の統合版の自動インストールを再度有効にしました。
  • IDE の拡張:IDE では多くの機能向上が行われており、次のものがあります:
    • 10.2.2 ウェルカム ページの修正と改善(パッチで配布済み)
    •  数多くの濃色テーマの向上 - FMX スタイル デザイナのテキスト ラベル フォント色、ウェルカム ページ スクロールバーのスタイル、ダイアログ スタイルの向上。
    • QuickEdit サポート - コピー (Ctrl + C) および張り付け (Ctrl + V) 操作
    • クリップボード履歴の向上 - 数メガバイトのテキスト コピー操作と項目群の削除機能
    • Windows ファイル エクスプローラからプロジェクトを開いた際の、スタートアップ レイアウトのサポート
    • 濃色エディタ配色パターンへの変更
  • FireDAC および多層拡張:データ領域において多くの機能向上が行われており、次のものがあります:
    • パスワードにおける二重引用符(")のサポート - 一部の CDATA Enterprise Connectors で必要なため
    • 2-3 の DataSnap の向上 - TDSServer OnError トリガ、C++ での DSClient 接続、JSON パラメータを持つ Apache Datasnap サーバー メソッド、TCP 設定におけるメモリーリークの削除
    • FireDAC の修正 - モバイルでの CSV ファイルに対する TFDQuery.OpenOrExecute、PostgreSQL DirectExecute、BatchMove のサポート、TFDDataSet.PSUpdateRecord やその他 FDBatchMove の向上
    • REST デバッガの拡張: リソースまたはパラメータが空のときに、最後のスラッシュ(/)を BaseURL プロパティの値に追加できるようになりました(最後のスラッシュを前提とする Web サービスへのサポートを提供するため)
    •  上記で言及されている新規機能の他、RAD Server では、CORS サポートや Linux / Apache の安定性のための機能向上が行われています。
  • Android アプリケーションのマニフェストの更新の回避策:Android AdMob アップデートの結果、10.2 Tokyo より前のバージョン(10.2.3 より前)で作成された Android アプリケーションを、10.2.3 でデプロイ行う際に、エラー メッセージ「Expected 4323000 but found 7095000」が表示される場合があります。これは、マニフェスト ファイルの内容が、10.2.3 Tokyo でデプロイされた、広告、マップ、アプリケーション内請求で使用される新しいライブラリと一致しないためです。解決するには、[システム ファイルをデフォルトに戻す]オプションを使用して、古い Java のインポート済みライブラリを、利用可能な新しいものに更新します。
  • JDK 9 の非互換性:10.2.3 以前のバージョンにインストールされた RAD Studio ツールチェーンと Android SDK は、Java(JDK 9)の最新バージョンと互換性がありません。
    • JDK 1.9 のみがインストールされている場合、Android SDK のエントリを追加することができません。
    • JDK 1.8 と JDK 1.9 の両バージョンがインストールされており、JAVA_HOME 環境変数が JDK 1.9 のインストレーション ファイルを指し、java -version が「9.0.4」バージョンなどを指している場合、JDK 1.9 をベースとした Android SDK のエントリを追加することができますが、Delphi や C++ の FireMonkey アプリケーションのビルドはできません。
    • JDK 1.8 と JDK 1.9 の両バージョンがインストールされており、JAVA_HOME 環境変数が JDK 1.8 のインストレーション ファイルを指し、java -version が「1.8.0_162」バージョンなどを指している場合、JDK 1.9 をベースとした Android SDK のエントリを追加することができますが、Delphi や C++ の FireMonkey アプリケーションのビルドはできません。